宝石好きなら一度は耳にしたことがある「コランダム」。これは実は、ルビーやサファイアの“鉱物名”だということをご存じですか?本記事では、コランダムの基本から、色の違いや産地、日本での産出までをわかりやすく解説します。
コランダムとは?
コランダム(corundum)は、酸化アルミニウム(Al₂O₃)を主成分とする鉱物で、モース硬度9という非常に硬い性質を持ちます。ダイヤモンド(硬度10)に次ぐ硬さで、工業用途にも使われるほか、美しいものは宝石として珍重されます。
このコランダムのうち、**赤いものを「ルビー(ruby)」、それ以外の色を「サファイア(sapphire)」**と呼び分けています。つまり、両者は同じ鉱物であり、色の違いだけで名前が変わるのです。
ルビーとサファイアの色の違いは?
色の違いは、コランダムに微量に含まれる不純物元素によって決まります。
- ルビー(赤色):クロム(Cr)が不純物として含まれることで、鮮やかな赤やピンクになります。
- サファイア(青色):鉄(Fe)やチタン(Ti)によって青くなります。
このように、純粋な酸化アルミニウムは無色透明ですが、微量元素の違いが色を生み出しているのです。
他の色のサファイアも存在する?
「サファイア=青」というイメージが強いですが、実はサファイアにはさまざまな色が存在します。
- ピンクサファイア
- イエローサファイア
- グリーンサファイア
- オレンジサファイア(パパラチャ・サファイアと呼ばれることも)
- 無色のホワイトサファイア
このように、ルビー以外のカラーコランダムはすべて「○○サファイア」と呼ばれ、ジュエリーとしても人気があります。
コランダムの主な産地と日本での採掘
コランダムは世界中で採掘されていますが、主な産地には以下の国々があります。
- ミャンマー(特にルビーの名産地)
- スリランカ(多彩なサファイアが採れる)
- タイ、マダガスカル、オーストラリア、タンザニア など
日本でコランダムは採れる?
実は日本でもコランダムは産出します。宝石品質は少ないものの、学術的に重要な鉱物として知られています。
- 北海道日高地方や岡山県高梁市などではコランダムの報告例があります。
- 特に高温・高圧の条件で形成されるため、変成岩地域に分布しやすい傾向があります。
産出されるコランダムの多くは小さな結晶ですが、鉱物採集家にとっては魅力的な対象です。
まとめ:ルビーもサファイアも同じ「コランダム」
コランダムは、ルビーやサファイアという美しい宝石の本体とも言える鉱物です。不純物の違いによって色が変わり、名前も変わるというのは、鉱物の奥深さを感じさせてくれます。日本でも産出が確認されており、地学や鉱物に興味のある方にはぜひ注目してほしい存在です。
※本記事は2025年7月時点の情報に基づいています。最新情報は専門機関や文献をご確認ください。
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