― 透明なゼラチン生命体の正体 ―
深海や外洋を漂う、まるでガラス細工のように透明な生物「サルパ(Salpa)」。
クラゲの仲間のように見えますが、実は私たち人間に近い“脊索動物”という意外な分類に属しています。本記事では、サルパの正体、生態、深海との関係、そして近年注目されている地球環境とのつながりについて、調べてみましたのでまとめます。
サルパとは何か?
サルパはホヤ類(被嚢動物門)に属する海洋生物で、学名ではサルパ目(Salpida)に分類されます。
体長は数センチから大きいものでは30cm以上になることもあり、体はほぼ透明でゼラチン質。光を反射せず、海中では非常に見えにくい存在です。
一見クラゲのようですが、サルパは脊索(せきさく)を持つ動物で、発生段階では背骨の原型となる構造を備えています。これは、魚類や人間と同じグループに属することを意味します。
サルパは深海生物なのか?
サルパは厳密には深海生物というより外洋性プランクトンです。
主に水深0〜1000m程度の中深層まで分布し、昼夜で上下移動することもあります。夜間に表層へ浮上し、昼間は深い場所へ沈む行動が観測されています。
深海探査映像で頻繁に目撃されるため「深海生物」として紹介されることが多いですが、実際には広い水深帯を漂う浮遊生物と考えるのが正確です。
ジェット推進で泳ぐ不思議な移動方法
サルパの移動方法は非常にユニークです。
体内に海水を取り込み、それを勢いよく後方へ噴射することで前進します。これはジェット推進と呼ばれ、クラゲよりも効率が良いとされています。
さらに、海水を吸い込む際に微細な植物プランクトンを濾し取って食べるため、泳ぐこと=食事という合理的な仕組みを持っています。
単体と鎖状、2つの姿を持つサルパ
サルパの大きな特徴のひとつが、世代交代による形態変化です。
- 単体型(無性生殖世代)
単独で漂い、自身の体内でクローンを作り出します。 - 連鎖型(有性生殖世代)
数十個体が鎖のようにつながり、幻想的な姿で海中を漂います。
この連鎖型の姿は、深海映像やSNSで話題になることが多く、「宇宙生物のよう」と評されることもあります。
サルパと地球環境の意外な関係
近年、サルパは地球温暖化や炭素循環の観点から注目されています。
サルパは植物プランクトンを大量に摂取し、炭素を含んだ糞粒を深海へ沈めます。この働きは生物ポンプと呼ばれ、大気中の二酸化炭素を深海に固定する役割を果たします。
温暖化により海水温が上昇すると、サルパが急増する海域も報告されており、海洋生態系のバランス変化を示す指標生物のひとつと考えられています。
サルパは危険?食べられる?
サルパは毒を持たず、人に危害を加えることはありません。
一部の地域では食用とされることもありますが、ほとんどが水分で味は淡白。一般的な食材ではありません。
また、大量発生すると漁網に詰まり、漁業被害を引き起こすこともあり、人間活動との関係も無視できない存在です。
まとめ:深海に浮かぶ“透明な進化の証人”
サルパは、
- クラゲのようでクラゲではない
- 深海にも現れる外洋性プランクトン
- 人間に近い進化系統を持つ
- 地球環境に影響を与える存在
という、非常に興味深い生物です。
深海探査技術の発展とともに、サルパは今後ますます注目されるでしょう。
「見えない存在」が、実は地球規模で重要な役割を果たしている――それを教えてくれるのが、サルパなのです。
※注意事項
本記事の内容は2026年1月時点の科学的知見に基づいています。
今後の研究により、新たな知見や解釈が示される可能性があります。


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