はじめに
石英(クォーツ)は地球上で最も一般的な鉱物のひとつです。
水晶として宝石やパワーストーンに親しまれ、また工業的にも重要な鉱物です。
実は石英には大きく2種類の分類があることをご存じでしょうか?
それが 「顕晶質石英(けんしょうしつせきえい)」 と 「隠微晶質石英(いんびしょうしつせきえい)」 です。
石英の基本
- 化学組成:SiO₂(二酸化ケイ素)
- モース硬度:7(比較的硬い)
- 結晶系:六方晶系(ただし常温では三方晶系)
石英は火成岩・変成岩・堆積岩などあらゆる岩石に含まれており、地球の地殻を構成する主要鉱物のひとつです。
顕晶質石英(Macrocrystalline Quartz)
特徴
- 肉眼で結晶が確認できる石英
- 六角柱状の結晶として成長しやすい
- 半透明から透明なものが多い
主な種類
- 水晶(Rock Crystal):無色透明
- アメジスト(Amethyst):紫色
- シトリン(Citrine):黄色〜橙色
- ローズクォーツ(Rose Quartz):淡いピンク色
- スモーキークォーツ(Smoky Quartz):褐色〜黒色
→ 一般に宝石やパワーストーンとして親しまれているものは、ほとんどが顕晶質石英です。
隠微晶質石英(Cryptocrystalline Quartz)
特徴
- 顕微鏡でしか結晶が確認できない石英
- 微細な石英の結晶が集合して塊状をなす
- 光を透過しにくく、不透明〜半透明
- 多彩な模様や色を示す
主な種類
- カルセドニー(Chalcedony):半透明、乳白色〜青灰色
- アゲート(Agate, 瑪瑙):縞模様を持つカルセドニーの変種
- ジャスパー(Jasper, 碧玉):不透明で赤・緑など多彩な色
- カーネリアン(Carnelian):赤橙色のカルセドニー
- オニキス(Onyx):縞模様が直線的に並んだカルセドニー
→ 加工品や装飾品として利用され、古代から印章や護符に使われてきました。
顕晶質石英と隠微晶質石英の違い
| 特徴 | 顕晶質石英 | 隠微晶質石英 |
|---|---|---|
| 結晶の大きさ | 肉眼で確認できる | 顕微鏡でやっと確認できる |
| 外観 | 透明〜半透明、結晶形を示す | 不透明〜半透明、塊状 |
| 代表例 | 水晶、アメジスト、シトリン | カルセドニー、アゲート、ジャスパー |
| 主な用途 | 宝石、パワーストーン、光学機器 | 装飾品、彫刻、装身具 |
まとめ
石英は、結晶の大きさによって「顕晶質石英」と「隠微晶質石英」に大きく分類されます。
- 顕晶質石英:結晶がはっきりと見える(例:水晶、アメジスト)
- 隠微晶質石英:微細な結晶が集まった塊(例:カルセドニー、アゲート)
どちらも私たちの生活や文化に深く関わっており、宝石・装飾品から工業利用まで幅広く活用されています。
注意事項
本記事は2025年時点での一般的な鉱物学の知見に基づいています。今後の研究により、新たな分類や発見がなされる可能性もあります。


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