🔹モース硬度とは?
モース硬度(Mohs Hardness) は、鉱物の「引っかき傷のつきにくさ」を基準にした相対的な硬さの尺度です。
1812年にドイツの鉱物学者 フリードリヒ・モース(Friedrich Mohs) によって提唱されました。
つまり、
「ある鉱物が別の鉱物を引っかいて傷をつけられるかどうか」
で、その硬さの順序を決めています。
たとえば、
- 石英(モース硬度7)は長石(硬度6)に傷をつけられますが、トパーズ(硬度8)には傷をつけられません。
このように「数値が大きいほど硬い鉱物」を意味します。
🔹モース硬度表(代表的な鉱物)
| 硬度 | 鉱物名 | 特徴・メモ |
|---|---|---|
| 1 | タルク(滑石) | 爪で簡単に傷がつく。石けんのような手触り。 |
| 2 | 石膏(Gypsum) | 爪で傷がつく。ホワイトチョークのように柔らかい。 |
| 3 | 方解石(Calcite) | 銅貨(10円玉など)で傷がつく。二重像を示すことも。 |
| 4 | 蛍石(Fluorite) | ナイフで傷がつく。割ると八面体に割れやすい。 |
| 5 | 燐灰石(Apatite) | 硬さの基準に使われるが、ガラスをかすかに傷つける程度。 |
| 6 | 正長石(Orthoclase Feldspar) | ガラスを明確に傷つけられる。 |
| 7 | 石英(Quartz) | かなり硬い。多くの岩石中に含まれる。 |
| 8 | トパーズ(Topaz) | 非常に硬い。刃物でも傷つけにくい。 |
| 9 | コランダム(Corundum) | ルビーやサファイアがこの鉱物。工業用にも利用。 |
| 10 | ダイヤモンド(Diamond) | すべての天然物質の中で最も硬い。 |
🔹硬度の目安(身近なものとの比較)
| 物質・素材 | モース硬度(目安) |
|---|---|
| 爪 | 約2.5 |
| 銅貨 | 約3 |
| ナイフの刃・鉄釘 | 約5.5 |
| ガラス | 約5.5〜6 |
| 石英 | 7 |
| ダイヤモンド | 10 |
👉 これを使えば、簡易的な「傷テスト」で鉱物の硬さを推定することができます。
🔹注意すべき点
- モース硬度は相対的な値であり、数値間の差は等間隔ではない。
たとえば、ダイヤモンド(10)はコランダム(9)の数倍も硬い。 - 鉱物の表面の「へき開」や「割れ方」によって、同じ鉱物でも方向によって硬さが異なることがあります。
- モース硬度は「引っかき硬さ」を表すもので、**押し込み硬度(ビッカース硬度など)**とは異なります。
🔹まとめ
- モース硬度は「鉱物の傷つきにくさ(相対的硬さ)」を示す尺度。
- 1812年にモースが提唱。
- 鉱物鑑定や地学の基本中の基本。
- 1〜10の代表鉱物を覚えることが実践的。
- 同じ数字の間にも大きな硬度差がある点に注意。
🔹現時点での情報について
本記事の内容は2025年10月時点の一般的な鉱物学知識に基づいています。
最新の物性値や新しい鉱物分類の更新がある場合は、今後改訂される可能性があります。