誕生石とは、生まれ月ごとに定められた宝石のこと。古くから守護石として身につける文化が世界各地にあり、今ではプレゼントやアクセサリーの定番にもなっています。
今回は「7月の誕生石」について、日本と海外の誕生石表の違いや、なぜその石が7月に選ばれたのかを解説していきます。
日本と海外の誕生石表の違い
実は誕生石の種類や数は国によって異なります。アメリカやイギリスなど西洋諸国では、1912年にアメリカ宝石商組合(Jewelers of America)が定めた誕生石リストが広く浸透しており、これをベースに各国が自国の文化や宝石事情に合わせてアレンジしてきました。
一方、日本では1958年に全国宝石卸商協同組合が「日本の誕生石」を定めました。その後2021年に改定され、新たに10種類の石が追加されました。たとえば、アメリカでは6月の誕生石として「アレキサンドライト」が含まれていますが、日本では長らく採用されていませんでした。しかし改定後、日本でも追加されています。
つまり、日本の誕生石表は、世界の流れに倣いつつも、日本人の感性や流通事情に合った独自の表を持っていると言えます。
日本における7月の誕生石
2021年の改定以降、日本の7月の誕生石は次の2種類です:
- ルビー(Ruby)
- スフェーン(Sphene)※新たに追加
ルビーとは?
ルビーは真紅の宝石で、「情熱」「勝利」「生命力」などの意味を持つ石です。鉱物学的には「コランダム」という鉱物の一種で、赤いものをルビー、青など他の色をサファイアと呼び分けます。モース硬度9という非常に硬い性質を持ち、耐久性も高いため、古来より王族の装飾品としても人気がありました。
透明感のある深い赤色は「ピジョン・ブラッド」と呼ばれ、特に高い価値を持ちます。
スフェーンとは?
スフェーンはあまり知られていませんが、強い「ファイア(虹色のきらめき)」を持つ希少石です。光の分散が非常に高く、角度によって赤・緑・黄といった多彩な光を放つ魅力があります。和名は「くさび石」。ルビーの鮮やかさとは対照的に、繊細で幻想的な輝きが特徴です。
なぜルビーが7月の誕生石に?
ルビーが7月に選ばれた背景には、古代インドや中世ヨーロッパでの「守護石」信仰があります。
インドでは古くからルビーは「宝石の王」とされ、健康・繁栄・守護の力を持つと信じられてきました。中世ヨーロッパでは、ルビーは戦士たちの石とされ、勝利をもたらす守護石として用いられていました。
また、7月は一年の中でも太陽が最も強く輝く時期。その情熱や活力を象徴するかのように、赤く燃えるようなルビーは7月にふさわしい宝石として位置づけられてきたのです。
なぜスフェーンが7月の誕生石に?
スフェーンは2021年の改定で新たに追加された宝石ですが、その選定理由にも意味があります。
まず第一に、スフェーンの光の分散(ファイア)が夏の太陽のきらめきと重なること。スフェーンは虹色に光る特性を持ち、その幻想的な輝きが夏の強い日差しと美しく調和します。夏らしい開放感と輝きを象徴する宝石として、7月にふさわしいと評価されたのです。
また、近年は多様な誕生石を取り入れ、個性を尊重する流れが強まっています。そうした中で、従来のルビーとは異なる魅力を持ち、感性の多様性を象徴する石としてスフェーンが選ばれたとも言われています。
おわりに
誕生石には、それぞれの月の季節感や歴史、文化が詰まっています。7月の誕生石であるルビーやスフェーンも、単に美しいだけでなく、古代から人々の心をつかんできた特別な石です。
情熱的なルビーと、幻想的な輝きを放つスフェーン。もし7月生まれの方へのプレゼントや、自分へのお守りを探しているなら、それぞれの石の個性を楽しみながら選んでみてはいかがでしょうか?
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